たたら製鉄では、砂鉄を採取することを鉄穴流し(かんなながし)と言って、山を切り崩し、水流によりその土砂の中から砂鉄を比重の違いで選鉱しますが、その際大量の土砂を川に流していました。このため、近隣の村々では度々洪水が発生し大きな被害が出ていたようです。神楽の演目に八岐大蛇がありますが、これは、鉄穴流しによって、河川が大氾濫していたことを表現したものと言われています。 |
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一方では、鉄穴流しにより、山が切り崩され平地となった場所は、田に造成されました。この田は現在も稲作が続けられており、重機の無い時代に現在の圃場整備に匹敵する土木技術を持っていたことにはとても驚かされます。 |
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たたら製鉄は、製鉄に関わる人の雇用や農地が造成されたことで食料増産につながり、30年といったサイクルで常に新たな森林が再生されてきました。
自然破壊という人もいるかもしれませんが、中国山地の山懐で、高度な製鉄や土木技術を持ち、森と共存していた人々がいたことを、私は記憶にとどめておきたいと思います。 |
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