トップページ 初めての方へ お問合せ ログイン
ホーム > 森づくりブログ > 冠山での出会い
「冠山での出会い」
(令和元年6月)

 去る4月21日、廿日市市吉和の冠山にカタクリの花を観に行きました。昨年は、島根鳥取両県にまたがる船通山に登りましたが、少し時期が遅く既に花が散っており残念な思いをしました。そんなこともあり、今年はどうだろうと思いながら登り始めました。

 私にとってはほぼ一年ぶりの登山で、一人で登り始め、30分くらいしたところで、私よりは年配の方に追い抜かれ、へとへとになりながらそれでもなんとか1時間程度は登ったと思います。
 正直なところもう止めて帰りたい気分になっていました。職場の同僚にも冠山に行くと言っていましたので、目的を達成せずして下山した言い訳を考える始末。

 とその時です。30分前に私を追い抜いていった年配の方が、右手の藪からヒョッコリ現れたのです。
 首にカメラをぶら下げておられたので、何かを撮影されていたのだろうとは思いましたが、私から「何を撮られたのですか。」と、お聞きすると、「○○です。少し時期が早かったみたいです。」と答えられました。○○はブナに寄生する植物だそうですが、その時の私の頭には全く入ってきません。ではなぜ聞いたのと思われるでしょう。私は心も体も折れて何かに助けを求めていたのだと思います。
 その後その年配の方は、道端の植物の解説をしてくださりながら、私のペースに合わせて歩いてくださいました。

 やがて薄紫のカタクリの花が道端に現れ、想像していた以上にたくさんの花が咲いており、私はすっかり元気を取り戻し、頂上まで花を愛でながら登ることができました。
 年配の方ですが、別の被写体を求めて途中で道をそれていかれましたが、あの方は、私にとっては、「救いの神」であったように思います。
 おそらく、「救いの神」にお会いできなかったら、私は大量の言い訳をリュックに詰めてとぼとぼと下山していたと思います。
 頂上でおにぎりをほおばり、一休みして下山の途に就きましたが、帰り道では「救いの神」にはお会いすることはありませんでした。
 苦しくも素晴らしい一日を過ごすことができたこと、素晴らしい出会いを与えてくれた冠山に感謝です。
 
前のページへ戻る
▲このページの上部へ