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ホーム > 森づくりブログ > 『ふるさとの里山を広島市民の「お宝」に育てたい』(里山環境保全みどり会)
  『ふるさとの里山を広島市民の「お宝」に育てたい』(里山環境保全みどり会) 2011/01/04
【荒廃した里山を甦らせ地域資源を活かしたい】
 私たち里山環境保全みどり会は、安佐南区山本地区の背景にある、武田山〜火山〜丸山を舞台に、自分たちで楽しみながら子どもからお年寄りまで広く市民に喜んでもらえるような里山づくりを進めています。
 広島県史跡で安芸武田氏が銀山城を築き約250年に渡って安芸国支配の中心地であった武田山、神武天皇が山頂でのろしをあげ兵を集めたという烽火伝説の伝わる火山、江戸時代から明治半ばまで栄えた温泉の石組みが残る「湯つぼ跡」が中腹に眠る丸山と、歴史ロマンあふれる私たちふるさとの里山も数年前までは、山に向かう道の両脇の笹がトンネルのように覆い被さり、ゴミの不法投棄も目立つ荒れた状況でした。

【契機は「ひろしま八区覧会・八区物館」】
 このような状況が変わる契機となったのは広島市が平成17年に行った地域おこしイベント「ひろしま八区覧会・八区物館」でした。安佐南区ではメイン会場が武田山となり、講演会やボランティアガイドの養成、登山会などが行われ、これに前後して各地域のボランティアグループの活動が活発になりました。
 私たちは、武田山のふもとの東山本川源流の民有地を「鹿ヶ谷ふれあい広場」として整備、杉林や竹林の間伐材を利用して山小屋にや東屋、炭焼き窯を設置し、地元の公民館や住民と協力しながらホタルの放流やカブトムシの育成、遊歩道やビオトープ、菜園などの周辺整備に取り組んでいます。

【地域の行事として定着してきた「山菜まつり」と「もみじまつり」】
 「ひろしまの森づくり県民税」などの補助をいただいて進めた活動で、荒廃した登山道入り口は、多くの人の集う憩いの広場へ生まれ変わりました。里山整備の状況を知ってもらいたいと始めた春の恵み山菜を天ぷらにして楽しむ「山菜まつり」と紅葉の下で秋の里山を楽しむ「もみじまつり」は地域の行事として定着しつつあります。昨年、11月28日(日)開催した「鹿ヶ谷自然道第4回もみじまつり」では、400名の参加者で賑わいました。

【若い力でよみがえったホタル】
 平成16年から始めたホタル放流の取り組みは、ホタルの餌となるカワニナの飼育、太田川水系のホタル数匹を譲り受けての採卵とゼロからのスタートでした。ヒルに幼虫が食べられたり、夏場水温が高くなりすぎ幼虫が全滅したりと試行錯誤を繰り返しました。また、地域住民や地元の中学生の協力を得てホタルの生育環境を整えるための川の清掃活動も毎年行っています。
 現在では、町内7カ所の放流池で毎年ホタルを見ることができ、地元の2つの小学校の3年生児童もホタル幼虫の飼育、放流に取り組んでいます。

【水害の歴史の証人「石組堰堤」を守れ!】
 平成20年の春に、みどり会のメンバーが登山道の整備中に丸山の山中で落ち葉や土砂で半ば埋もれた石組みを発見しました。80年前に山本で死者24名を出した「山本水害」の後、土石流の発生現場の作られた長さ120mに及ぶ曲線の美しい三面張りの石組堰堤でした。
 地域に呼びかけて長年堆積した土砂や石組の間から生えた木の根を取り除き、歴史の証人として建造当時の姿を蘇らせたことが新聞で紹介され、その後実施した登山会では記事を見て来訪された広島県砂防協会の方に現地で講師をお願いし、山の整備が災害に強いまちづくりにつながることを学びました。

【新たな受験祈願スポットとして注目を集める「岩観音」】
 平成21年には、丸山の中腹にプールのような石組みの残る「湯つぼ跡」にいたる山道を公益信託広島市まちづくり活動支援基金「ふむふむ」の助成をいただき「やん谷自然道」として整備、湯つぼ跡近くの「岩観音」は「落ちそうで落ちない岩」と紹介し、新たな受験祈願スポットとして注目を浴びています。このほかマツタケ山再生の取り組みなど里山を舞台にした様々な活動を展開中です。

【里山のワザを町づくりへ活かす】
 里山整備で磨いた除伐や看板づくりなどのワザを町づくりにも活かしています。
 自治会の依頼を受けて公園の竹林の整備や花いっぱい運動へ協力するなど山から町へおりての活動も広がっています。
 平成22年の夏には、より多くの住民に里山に親しんでもらいたいという思いから、横2.8m縦1.9mの里山案内板「わがふるさと山本案内」を制作、区役所の許可を受けて、東山本川緑地へ設置しました。

【広島市民の「お宝」に育てたい「広島南アルプス」】
 武田山から南西に延びる尾根筋は、西、佐伯区にまたがる鈴が峰にいたる約20kmに及ぶ縦走路です。いずれも標高500mに満たない低山ばかりで中腹まで住宅が立ち並んでいますが、道沿いは自然にあふれ、刻々と姿を変える広島のデルタを見下ろしながら歩ける眺めのよいコースで、10年あまり前から誰言うとなくハイカーの間で「広島南アルプス」として知られています。
 低山とはいえ7〜10時間かかるため、決して楽ではありませんがエスケープルートも沢山あるので時間と体力に応じたコースを組めば、老若男女誰でも挑戦できる身近なアルプスです。
 武田山で活動するボランティア団体で組織する「武田山関連団体連絡会」では、昨年12月、三滝少年自然の家で一泊し、2日かけてこの広島南アルプスを縦走する試験走破を行いました。
 今後、65歳以上の方は宿泊料が無料となる少年自然の家を活用するプランを提案し、広く市民の皆さんにチャレンジしていただきたいと願うとともに、広島駅から200円で行けるアルプスとして、将来は市外や県外からも訪れる広島の観光スポットに育てて行きたいと考えています。
 
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